虫垂炎「盲腸」とは
「盲腸」は、医学的に言えば小腸が繋がっている大腸の行き止まり部分のことを指します。「行き止まり」の古い言い方である「盲端」から転じて名づけられた盲腸には、「虫垂」と呼ばれる組織がぶら下がった虫のように付いています。虫垂炎は医学用語で「アッペ」と呼ばれますが、これは虫垂を示す「appendix(おまけ・付録という意味もある)」に由来しています。
主な症状
盲腸の主な症状としては、ズキズキ・シクシクと表現される連続的な腹部の疼くような痛みがあります。この痛みはみぞおちから起こり、時間の経過とともに虫垂のある右脇腹に向かって移動してくるという性質を持っています。この時、痛みを感じている箇所を押してから離すと痛みが強まってしまいます。また、盲腸から来る痛みで食欲不振や吐き気を起こしたりすることもあります。
症状の悪化
虫垂炎になった盲腸は、治療しないで放置しておくと炎症が悪化して虫垂が化膿し破裂する恐れが出てきます。虫垂が破裂すると内臓を覆う腹膜に内容物が飛散して、腹膜炎を発症する恐れがあります。虫垂の破裂による腹膜炎は敗血症を併合することがあり、命に関わる非常に危険な状態です。かつての名横綱である玉錦や玉の海は、虫垂炎の悪化が原因で現役生活中に帰らぬ人となっています。
原因
虫垂炎の原因としては、便が大腸内部で固まって出来る糞石が虫垂に留まり虫垂内部の腸内環境を悪化させることが有力視されています。虫垂は、元々腸内細菌のタンクとしての役目を持っているといわれており、腸内細菌による消化をサポートしているのです。また、動物性たんぱく質への腸内アレルギーが原因とする説や、自律神経の失調を原因とする説などもありますが、原因は未だに特定されていません。
発病対象
盲腸を発症しやすいといわれているのは、10代から30代の若年層に集中しています。基本的に、発症に男女差はなく全ての人が発症する可能性を持っています。この場合、盲腸を発症する割合は15人に1人、つまり約7%という統計データがあります。また、6歳以下の未就学児に小児虫垂炎が発症することがあります。このような小児虫垂炎は、患者となる子供が症状を訴えても要領を得ないことや、診察の際に暴れたりして判断が遅れること、病状の進行が早く発見時に腹膜炎を併発していることなどがあり、非常に難しい病気になっています。
盲腸の治療
盲腸になった場合、外科手術で虫垂を切除するのが基本方針なのですが、最近は虫垂の保存治療が盛んに行われています。これには「極力患者の負担となる治療は避ける」という考え方が大きく影響しているといえます。
内科的治療法
内科では抗生物質を投与して治療する、「盲腸を散らす」薬物療法が取られます。内科での治療の利点は手術しなくてすむことや、入院期間が短くてすむことがあります。しかし、保存した虫垂には虫垂炎再発の恐れがあり、長期的な観察と療養が必要ともいえます。
外科的治療法
外科では、手術で虫垂そのものを取り去ってしまいます。虫垂は切除しても腸の機能には影響しないというデータもあるようです。一昔前は開腹して切除する方法が一般的でしたが、現在は腹腔鏡手術が一般的になってきています。腹腔鏡手術のメリットは、切開する範囲が小さくなり患者の負担が減ることや、開腹手術よりも回復が早いということなどがあります。
再発の恐れ
虫垂を保存する薬物療法を行った後、沈静化していた虫垂炎が再発することがあります。このように再発した場合を「慢性虫垂炎」として定義されます。対して一般的に言われている盲腸は、「急性虫垂炎」と定義されています。慢性虫垂炎が起こる確率は約50%程度で、安全を喫して急性虫垂炎でも虫垂除去手術を行うことがあります。
盲腸とおなら
漫画やドラマなどでは、「盲腸の手術をした後のおならは成功の証」といわれていますが、これは虫垂の切除手術の影響で、腸の機能が一時的に停止した状態になっていることが理由となっています。大腸には便の小腸への逆流を防ぐ弁が付いていて、腸全体の収縮を繰り返す蠕動運動によって便を肛門に送り出しています。おならもこの蠕動運動で排出されていて、「おならが出る」ということは「腸が再び動き出した」という合図なのです。
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